新リース会計について 第3回「リースの識別(第2回)」
契約にリースが含まれていた場合
契約をながめていると、契約書の中身にリースが含まれているな。ということがあります。もちろん、そのような場合、新リース会計では、リース契約の内容を適切に区分し、リース会計を適用することが求められます
リースの区分処理
契約にリースが含まれている場合は、契約をリースと非リースの部分に分ける必要があります。分け方は、契約書で金額がわかる場合や、わからない場合はそれぞれの独立販売価格等を見積もり、合理的に案分します。
契約の結合処理
リースが複数の契約に分割されている場合は、契約を結合し、リース会計を適用します。
原則として、リースを構成する部分とそうでない部分に分けて処理することが必要ですが、科目ごと又は性質及び企業の営業における用途が類似する原資産のグループごとに、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とを分けずに、一体としてリース会計の会計処理を行うことを選択することは可能です。
この2つの話どこかで見たことがないですか?そうです、少し前に新しくなった収益認識基準と同じです。収益認識基準の時は、いつ売上が計上されるのかが大きな問題になりましたが、今回も契約をどうみるかで、いろいろと影響があります。特に影響が大きいのは一体で処理した場合は、リース負債が比較的大きく計算されるため、結果として貸借対照表の総額が大きくなることが挙げられます。
また、逆に契約を細かく分割した場合は、貸借対照表の総額は相対的に小さくなるとはおもいますが、しっかりと分割した契約を個々に管理し続けられるかという内部統制上の問題があるため注意が必要です。
1. リースが内包されている例
リースが内包されている例を列挙すると、以下の通りです
・不動産の賃貸契約の中で、賃料と清掃業務等サービスが付随している場合
・不動産の賃貸契約で、賃料とは別にいわゆる共益費が内包されている場合
・警備契約等で、機器のリース部分と警備のサービス部分が合算されている場合
・社用車を運転手付きでリースした場合(社用車は限定されている場合)
上記は契約に明記されている場合が多いと考えられます。日本基準では資産は通常契約に明記されていることにより特定されるとなっているので、契約書は網羅的に見ないといけないですが、判断は比較的容易であると思います。これが、IFRSでは、契約に明記されていなくてもリースを含む場合があると書いてあるので、実際は高度にカスタマイズしている契約等は日本基準とIFRSではリースの範囲が異なることも出てくるのではないかなと思います。
2. リースの識別
2回にわたって記載しましたが、リースがあるかないかは、大変重要です。影響は会計処理担当者のみならず、資産管理、契約管理を行う担当者もほぼ自動的に巻き込まれます。そして、リースが含まれるとなると、借り手は、オンバランス処理一直線です。
また、リースの場合は金額的にも多額になることが多いので、もしリースの金額を間違ってしまうと、一発訂正報告や遡及会計適用なんてことになりかねません。つまり、今まで以上に資産管理、契約管理、会計(支払)管理の担当者がうまく連携を取り、かつ、同じ情報を別の視点からしっかりと管理しないといけない世の中になります。
そのため、ほぼすべての会社で何らかのシステムの対応を検討するという事になるのかなと思っています。
ちなみに、筆者はエクセルで管理を試みたことがありますが、人がしっかりと管理できる個数はたかが知れております(筆者の管理能力がなさすぎるという議論はっとあるかもしれませんが、、、)。エクセルで何とかなるだろう、会計基準の変更だから経理に任せておけばよいは、一番避けたほうが良いなというのが今回の会計基準の変更です。
今回は以上です。